作業基準&作業内容                                   TOP

「思い出の再生工房」では以下の基準及び作業内容にてテレシネ変換を行っております。

1 8mmフィルム→ビデオ変換時の表示エリア設定について

2 ホワイトバランス調整について

3 色調整について

4 正確な時間軸再生とは

5 スプライス部(継ぎ目部分)の修正作業について

6 フォーカス調整について

7 振動対策について

1 8mmフィルム→ビデオ変換時の表示エリア設定について                戻る

 8mmフィルムの映写においてはスクリーンにフィルムの縁を含んだすべての映像を表示しております。

一方、テレビにおいてはテレビ受像機のブラウン管に表示されるエリアは収録された映像情報のすべて

ではなく上下左右に実際にブラウン管に表示されない部分を含んで収録されます。


理由はテレビ受像機はアナログであり温度変化、経年変化あるいは生産工程において調整時の

誤差等により表示エリアは一定ではなく極端なことを言えば1台1台すべてが異なります。

このため映像制作時にあらかじめこれを考慮し確実にブラウン管上に表示されるセーフティーゾーンを

設け作品作りを行っております。


現在テレビメーカ側ではセーフティーゾーンをはるかに超える
範囲で調整されており昔に比べ上下左右の

カット範囲も少なくなっております。また、液晶方式、プラズマ方式によって表示エリアは拡大している

ようですし、表示されないエリアがどの程度の割合かは正式にはいえないのが実情と思います。


最近ではパソコンによってDVD再生を行い映像を楽しむことが増えてきております。パソコンの画面上では

収録された映像情報が上下左右カットされること無くすべて表示されます。

「思い出の再生工房」ではパソコン画面で表示されたとき8mmフィルムの縁が見えない最大限のエリア設定

することを標準としております。この設定でブラウン管で映像を見ますと結果的に上下左右がカットされた

映像になってしまいます。


2 ホワイトバランス調整について                            戻る 

 スクリーンに映し出されたカラー映像は8mmフィルム自身に収録されている色とランプの色が混ざった色で

表現されていました。その結果、全体的に若干黄色掛かった色に見えていたと思います。

また、8mmフィルムメーカーもランプの色を意識し色作りを行っていたのではないかとも想像されます。


テレビカメラのホワイトバランス調整において、ランプの色を白基準に設定すると白黒映像に対しては

色成分が出なく綺麗な映像になります。

しかし、カラー映像に対してはスクリーンで見ていた色感覚に比べ青み掛かった色になります。

この状況を良しとする判断もありますが「思い出の再生工房」といたしましてはスクリーンに映し出されていた

状況を再現したく思い、ランプの色を白の基準とはいたしません。


テレビカメラのホワイトバランス調整はカメラ自身が持っている「オートホワイトバランス」での色が一番適切で

あると判断し「思い出の再生工房」ではこの設定で行っております。


3 色調整について                                   戻る

 長い間、保管されていた8mmフィルムの劣化は8mmフィルムの形状変化(片伸び等)だけではなく

色の退色という形でも現れます。

8mmフィルムの色を決定する3つの基本色はイエロー、シアン、マゼンタです。

各色によって退色の速度が異なるために8mmフィルムの保管年数や保管環境によって様々な色に変化して

しまいます。


これをある程度修正することは決して不可能ではないのですが大変な時間と労力が必要になります。

「思い出の再生工房」のデジタル画像処理技術は正確な時間軸の再現を目的にしており、退色に対する修正

機能は持っておりません。

「思い出の再生工房」では退色による色の変化に対しての修正作業は現在行っておりません。



* ちなみに、もっとも退色が激しい状態では画面は真っ赤に染まった映像になります。



4 正確な時間軸再生とは                              戻る

 1秒あたりの8mmフィルムのコマ数はレギュラー8方式で16コマ、スーパー8方式シングル8方式で18コマと

24コマが一般的に使用されていました。

「思い出の再生工房」のデジタル画像処理装置はこのコマ数を正確に(クォーツ精度で)再現させる能力を

持っております。


しかし、収録時の8mmカメラはメカニカルな動作によって動いており、スピード誤差は個々に異なって

おりました。

「思い出の再生工房」では8mmカメラのスピード誤差を修正する能力は残念ながら持っておりません。

修正するための情報がないのです。



5 スプライス部(継ぎ目部分)の修正作業について                戻る

 長い間、保管されていた8mmフィルムの劣化もさることながらスプライス部(継ぎ目部分)の劣化も無視することは

出来ません。スプライス部とは映像の編集を行うために、必要な部分を残し、不要な部分を切り取りカット

どうしを貼りあわせ作品として完成させるための大事な作業でした。

この作業のために8mmフィルムどうしを継げるための素材として透明粘着テープ又は接着剤が使用されていました。


透明粘着テープは素材自身の劣化と粘着剤の劣化があります。特に古いレギュラー8方式では修正せずに

映写機に掛けると外れてしまい時には大事な8mmフィルムを傷つけてしまうことがあります。また、接着剤による

継ぎ目でも接着剤の劣化により、わずかな張力によって外れてしまいます。時には継ぎ目部が変形して

しまい映写機に掛からないこともあります。


レギュラー8方式においてはすべてのスプライス部の修正作業を行います。スーパー8、シングル8方式に

ついては全数チェックを行い必要な箇所は修正作業を行います。

6 フォーカス調整について

 「思い出の再生工房」の映写機は家庭用市販品を改造して使用しております。

フォーカス調整機構は家庭用であるため充分な対策はされておらず若干の不安定要素があり、振動等

外的要因によってフォーカスがずれてしまう可能性があります。「思い出の再生工房」ではこの不安定要素を

改善し、更に微妙なフォーカス調整が可能になるように機構部の改造を行なっております。

 しかし、フィルム自身の厚みのバラつきや1巻中のフィルム種類の混在(白黒とカラー、スーパー8とシングル8)

によって作業中、フォーカスズレが発生してしまいます。このような要因でフォーカスズレが発生した場合、

その都度、作業中に調整を行ないますが、ズレから調整までの時間、フォーカスがズレた時間が発生します。

予めご了承ください。

基本的には8mmフィルムの種類の混在の無いようにお願いしておりますが現実的には不可能のようです。

フィルムの種類の変化に対応してフォーカス調整を完全に対応するには結果による別料金をご請求させて

いただきたく事になってしまいます。ご了承ください。

7 振動対策について

 映写機の振動とはモーターによる振動、コマ送り機構による振動があります。この振動はフォーカスズレと

画像揺れという結果を発生させます。これを最小限に抑えるためコマ送り機構・8mmフィルム映写用窓・レンズ機構

を振動から守る対策が求められます。元々家庭用に設計された振動に弱い映写機の対策としてはメカ的な

無振動基準点を設けることと振動に強いフォーカス調整機構によって画像への影響を極力削除いたしております。

工場設備を製作するメカトロニクスの専門企業に弊社のアイデアを実現していただきました。

技術の詳細は企業秘密とさせていただきます。